PoSは富裕層に有利なの?

PoSを採用する暗号通貨に未来はあるのだろうかという記事が流れてきた。この記事の概略はこうだ。

  • PoSは富裕層に有利である
  • PoWはPoSよりも貧者に有利である
  • 貧者はPoWの通貨に移動する

これらの結果として、PoSの通貨は売却され、価値が下がり、PoSの通貨は廃れる、という主張である。

これは、よく見る言説のように感じる。しかし、理屈を追って考えると、「PoSは富裕層に有利」とは言えないように思う。気付いている人は多いと思うが、論点整理のつもりで、それについて指摘したい。

PoSは「富裕層に有利」ではない

PoSは富裕層に有利、という主張である。下記のような記述がある。

残高に比例してマイニング報酬が割り当てられるPoSの世界では、金持ちはより金持ちになれます。

PoS経済圏の中では、格差は常に拡大し続けることになるのです。

「PoS経済圏で格差は拡大し続ける」は正しい

「PoS経済圏の中で格差は常に拡大し続けることになる」は、おそらく正しい。確かに、PoS通貨を持っている人は、たくさんの報酬を受け取ることができる。

PoW経済圏でも格差は拡大する

しかし、格差が拡大し続けるのはPoW経済圏でも同じだ。この点において、上記記事と私は理解が違う。

上記記事では、PoWは貧者に有利である、という方向の論拠を説明できていないように思う。

下記のような記述はあるが、これは「PoWは貧者に有利」という命題の説明にはならない。

誰でもすぐにマイナーになれるのです。

ビットコインは完全な自由競争の世界なのです。

PoWは、確かに形の上では誰でもマイナーになれるし、自由競争の世界だ。法規制などもない。それを考えると、なんとなく「誰にでも儲けられるチャンスがある」というイメージをしやすいのかもしれない。

でも、実際には違う。PoWのマイニングをしようと思ったら、マイニングする設備を調達しなければならない。なにしろ、10分に一回発生する2500万円をたくさんの人で奪い合うのだ。投資する金額は莫大だ。実質的にマイニングできるマイナーになるには、やはりお金が必要である。

ちなみに、今年9月にGMOインターネットが発表したマイニングセンターの投資金額は100億円である。そういう規模感の投資が必要だ。

PoWは貧者にもチャンスがある、とは、とても言えないだろう。

PoSは儲かるの?

一方、PoSは、意外と儲からない。その利回りは、私の経験では年利0.05%程度である。2017年11月の一ヶ月間、NEMで移譲ハーベスティングをした私の実績数値を年利に換算したものだ。

この利回りは、投資としてはとても割に合わない。通常、株式の世界などでは年利5%という相場感がある。投資と名前のつくものは、利回りが年利5%程度出ないと不合格、ということだ。PoSの0.05%は、それに遠く及ばない。

PoSは、利回りで考えれば魅力的ではない。富裕層は、株式市場で株を買うだろう。

まとめ

つまり、「PoSは富裕層に有利」ではない、ということだ。

PoSもPoWも、儲けようとすれば莫大な元手が必要であり、どちらにしろ貧者にはその投資をすることができない。また、PoSは、2017年12月現在では利回りが極めて低く、投資としては魅力的ではない。富裕層が本腰を入れて参入してくることはないだろう。

「中国にはたくさんのマイニングプールがある」
「たくさんのサーバを並べてマイニングしている」

という趣旨のニュースを見たことがある人は多いと思う。たくさんのお金をかけて建物を調達し、サーバを調達し、マイニングをしている。その調達には、結局富裕層のお金が必要である。富裕層こそが、PoWの世界で儲けているのだ。

PoSの世界に富裕層が投資をしたというニュースを見たことがあるだろうか?私はない。PoSが富裕層にとって有利なら、PoSでの”マイニング”に参入する企業が出てきてもおかしくない。しかし、そのような事例は出てきていないように思う。

だからおそらく、「PoSは富裕層に有利」は、事実ではない。

以上

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です